僕と彼女の土台のある生活

作・Kanoguti


§1

?『…ごしゅじんさまー…』

…。

?『…ごしゅじんさまー…』

……。

?『…ごしゅじんさま!』

………!!

僕『…うわああああ!!』
?『あああっ!!ご、ごめんなさい…!大丈夫ですか…?』
僕『あ…。』

朝だ。

?『大丈夫です…か…?ご主人様…?』
僕『あ…うん。大丈夫だよ。おはよう、ミーコ。』
ミーコ『おはようございます!ご主人様!』

ミーコ…。犬耳と犬の尻尾が生えたこの彼女は、僕の一番の友達であり、一番の僕の理解者でもあり…。
僕の唯一の家族だ。

ミーコが僕の元へやってきたのは、僕が中学生のころだった。
ある日、学校から自宅へ帰ってきたときに、彼女は突然現れた。
ミーコ『おかえりなさいませ!ご主人様!』
突然現れた彼女に対して、僕は不思議と何も違和感を感じなかった。
彼女のこと…彼女の性格や、彼女がどうして僕の目の前に現れたのか、
この時から既に何もかも僕は全て知っていた。
優しくて、どうしようもなく可愛くて、彼女がいるだけで僕は幸せな気分になる。
僕は、彼女に恋をした。

ミーコ『…あ、あの…ご主人様…?』
僕『…あ…ごめんごめん、なんだい、ミーコ。』
ミーコ『先ほどからなんだか変ですよ…?ご主人様…。』
僕『…いや、大丈夫だよ。ミーコ。』
ミーコ『あぅ…そうですか…ホッとしました!』
僕『今日は一緒に外に出かけようか。』
ミーコ『お出かけですか!!わふー!やったやったー!!ご主人様とお出かけだー!!』
今日は休日なので、彼女と外出することにした。

このような生活が、もう10年も続いている。

§2

ミーコは犬人間で、人間の年齢に換算するとちょうど10歳だ。
そして僕は23歳の大学生。
ミーコは、僕が彼女と出会った10年前から姿は変わっていない。
そう、彼女は永遠に10歳の少女のままなのだ。
彼女は、僕が希望すれば大人の姿にもなるし、人間の実の妹の姿になってほしいと言ったら、犬耳と尻尾を引っ込めて完全に人間の姿にもなってくれる。
彼女は僕の思い通りの姿になってくれるのだ。
でも僕は、彼女の元々の姿である犬人間の姿の時が大好きだから、普段は特別なことがない限り姿を変えさせない。
ミーコ『ご主人様、今日はどこにお出かけするのですか?』
僕『う~ん…ミーコはどこに行きたい?』
ミーコ『ボクはご主人様の行きたいところにどこまでも着いていきますから、ご主人様がお好きなところにボクは行きたいです!』
僕『そっかぁ…。じゃあ、今日はデパートに行こうか。』
ミーコ『はい!わかりました!』
僕たちはデパートへと向かった。

デパートに着くと、僕はまずゲームセンターへと向かい、UFOキャッチャーで遊ぶことが多い。
たまに音楽ゲームをしたり。
僕は彼女と一緒にこの幸せな時間を楽しむのが大好きだ。
その後、書店でコンピュータ関連の書籍のコーナーへ行く。
僕の将来の夢は様々な表現を使った芸術作品を作る芸術家だ。
なぜコンピュータ関連の書籍を探すかというと、僕はコンピュータを使ったインタラクティブな作品を制作するためにプログラミング関係の書籍が必要だからだ。
ミーコ『ご主人様…こんな難しそうな本に興味があるんですね…。やっぱりご主人様はすごいです!ボクなんか全然わかりません…。』
僕『ははは…ミーコにはちょっと難しいかもね。』
ミーコ『ボク、やっぱりご主人様のこと尊敬してます!』
僕『そ、そんなにすごいことじゃないよ…!』
ミーコ『いえいえ!すごいですよ~!!』
僕は書店に着くといつも彼女とこのような会話をする。
書店で書籍を見た後、ペットショップを見つけたのでミーコとともに入った。
ミーコ『わぁ~!!かわいいですね!!ご主人様!!』
僕『そうだね。』
ミーコは犬人間だけど、人間以外の動物の言葉はわからないようだ。
しかし彼女は僕以外の人間と話すことは全くない。
…その時、僕の肩にそばにいた人の肩がぶつかった。
ミーコ『がるるる~!!ご主人様に謝ってください!!』
僕に何か悪いことをしてくる人がいたら、怒りながらその人の足に噛みつく。
しかし彼女が噛みついても、その人は平然としている。
これが彼女の不思議な点の1つだ。
僕『まあまあ…落ち着いて、ミーコ。偶然ぶつかっちゃっただけだよ。』
ミーコ『むぅ~!!あっ、ご主人様!お怪我はないですか!?』
僕『だ、大丈夫だよ!このぐらいじゃケガはしないよ。』
ミーコ『そうですか…よかったです…。』

夕方になり、今日はこの辺で帰ろうと思った。
僕『ミーコ、今日は楽しかったかい?』
ミーコ『はい!!ものすごく楽しかったです!!ご主人様!!』
僕『そうかそうか…良かった。』
ミーコ『えへへ…!』
デパートを出たら、綺麗な夕日が見えた。
ミーコ『わぁ…!綺麗ですね…!』
僕『そうだね~…。』
…もうすぐ、自宅に帰らないといけない。

§3

僕『ただいま…。』
『床屋はどこですか?私は俺のハサミ醤油の湯加減を定置網にて回り出す…コケコケコケ。優柔不断な戦闘機を魔界のそばから遊んでいきましょう楽しいよ楽しいよ!別につまらない人生を繰り返すことが罪ではないのです。私はあなたの味方です。味方です味方ですよ〜アハハ!煽る耐性ミジンコ儀式の太陽時間である。固定概念をぶつけましょう殺害リストは掛け軸の中にありますよ!結構楽しい不愉快なお葬式を罰に与えましょう!!生きていて楽しい時間をこんばんは! どうしようもないこんばんは!クルシミ国の儒教を教えましょうか…迷う迷う夜な夜な現代に迷います。物理物理物理………。』
…また始まった。
僕の「家族」による会話が。
僕はこの会話を耳の中に入れるのが不快だった。
ミーコ『ご主人様…。あんな会話は気にしないで、ご主人様のお部屋に向かいましょう?』
僕『う、うん…。そうだね。』
僕はミーコとともに、静かな自室へ向かった。

『お前はかわいそうな人間だと思われたいのだろう?』
『大丈夫だよ、あなたは優しい子だから、頑張れるって。』
『君の夢は単なる嫉妬と妄想の塊だ。』

………。

『君のやっていることは授業から離れているよ。』
『話をちゃんと聴きましょうね?』
『あなたは居ても居なくても良いどうでもいい存在です。』

本当はあなた、もっと頑張れるでしょ?

ありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございました


ミーコ『ご主人様!!!』
僕『………!』
ミーコ『大丈夫ですか!?ご主人様!!』
僕『う、うん……ごめんね…。また…やっちゃったね…。』
ミーコ『また、思い出してしまいましたか…?』
僕『うん…。』
ミーコ『そうですか…。』

…僕は時々思い出してしまう。
あの忌々しい時を。

§4

僕『ただいま…。』
母『おかえり、トモル。学校はどうだった?』
父『帰ってきたか。疲れたろ?トモルの分のご飯ももうすぐできるからさ、こっちおいで。』
母『…?トモル…大丈夫…?…また何か嫌なことあったの?』
父『嫌なことがあったなら、お父さんやお母さんに話してもらえないか?みんなトモルの味方だからさ。』
…また始まった。
僕の「家族」による会話が。
僕はこの会話を耳の中に入れるのが不快だった。
ミーコ『ご主人様…。あんな会話は気にしないで、ご主人様のお部屋に向かいましょう?』
僕『う、うん…。そうだね。』
僕はミーコとともに、静かな自室へ向かった。

母『あの子、大丈夫かしら…。』
父『やっぱり何かあったみたいだな…。』
母『あの子が無口になってから、どのくらいになるかしら…。』

………。

父『きっといつかあの明るい頃のトモルに戻ってくれる日がくるよ。』
母『そうだといいんだけど…。私、心配だわ…お父さん。』
父『どうしたものか…。』

やっぱり、あの子は何か心の病を患ってるのかしら…。

ありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたあり がとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうござい ましたありがとうございましたありがとうございました

父『トモル!?』
母『トモル!!どうしたの!?急に大声出して!!』
父『大丈夫だ!トモル!!お前は独りなんかじゃない!!落ち着け!!落ち着くんだ!!』
母『トモル…トモル…もうやめて…トモル…お父さんとお母さんがついてるのよ…トモル…。』

ミーコ『ご主人様!!!』
僕『………!』

父『…トモル!おい、大丈夫か!?』
母『トモル!!』

ミーコ『大丈夫ですか!?ご主人様!!』
僕『う、うん……ごめんね…。また…やっちゃったね…。』

父『何があったんだ!トモル!!おい!!』
母『しっかりして…トモル…。』

ミーコ『また、思い出してしまいましたか…?』
僕『うん…。』
ミーコ『そうですか…。』

…僕は時々思い出してしまう。
あの忌々しい時を。

父『トモル!おいトモル!!どこに行くんだ!!』
バタン!!
母『…うあぁぁぁぁぁ!!トモル…どうしてよ…トモル…。』
父『おいお前!泣くなよ…!』
母『わたしの…わたしのせいであの子は…!!』
父『そんなこと言うな!お前のせいじゃない!!』
母『うぅぅぅぅぅぅ!トモル…。』

父『…トモル…お前は一体誰と話してるんだ…。』

僕は自室へ戻った。
僕『ミーコ、ごめんね…心配させちゃったね。』
ミーコ『そ、そんな!ご主人様、謝らないでください!!…あの頃のことは、もう忘れましょう…?』
僕『…夢に出てくるんだ…あの頃のことが…。』
ミーコ『そうなんですか…ごめんなさい…ボク、何もできなくて…。』
僕『ミーコは僕のそばにいてくれるだけで十分だよ。』
ミーコ『ご主人様…。』

僕はあの頃の記憶を忘れることは無い。
いや、忘れることができない。
もう思い出したくも無いのに、夢に出てくる。

僕は…どうしたらこの苦しみから解放されるのだろう…。

§5

中学生になりたての頃、僕は今と比べたら恐らく普通の少年だったのかもしれない。
当時の僕の夢は、音楽家だった。
なぜそのような夢を抱いたのかというと、小学生の頃の音楽の成績が6年間全部優秀だったからだ。
僕が通っていた小学校の卒業式では、卒業生が中学で何を頑張るのかなどを発表することがあった。
そこで僕は音楽家になりたいということを発表した。
その発表は中学校の音楽の先生まで伝わったらしく、僕は小学校を卒業して間もなく部活動体験で吹奏楽部の体験入部を申し込んだ際に音楽の先生…つまり吹奏楽部の顧問の先生に呼び止められて、僕に是非この部に入って欲しいと言われた。
しかし、当時の僕は異性とコミュニケーションをするのが苦手だったという情けない理由から、女性が多い吹奏楽部にどうしても入ることに抵抗があった。
その結果、僕は顧問の先生の期待を裏切ってしまった。

これが今の僕になる原因の基だったのかもしれない。

そして僕は、心から入りたいと思っている部活動が無くなってしまい、結局、中学校ではあまり評判が良くなかった科学部へと入ってしまった。
科学部へは小学校の頃の友人とともに入部した。
これならなんとかなるだろうと思っていた。
ミーコが僕の元へやってきたのはこの頃だった。
ミーコがやってきてくれたおかげで、異性とは話しやすくなった。
しかし、もう部活の入部届けを出した後だったため、吹奏楽部への転部はできなかった。
僕が通っていた中学校では1年生から2年生になる際に転部をすることができた。
しかし、今更吹奏楽部に移っても練習についていけないことが明白だったから、転部することができなかった。

時は経ち2年生の文化祭の後のある日のことだった。
科学部の先輩が部活を引退するとき、僕が部長に任命された。
ここからが僕の本当の意味での地獄の始まりだった。
僕はリーダーには到底似合わない人間だったため、何をすればいいのかわからなくなってしまった。
おかげで僕はパニック状態。
様々なプレッシャーが僕へ落ちてきて、結果僕はいわゆる鬱状態になってしまったのかもしれない。
しかし、学校へはほぼ毎日行っていた。
家族を悲しませたくなかったからだ。
このから僕はプレッシャーを発散させるかのように絵を描き始めた。
その絵はぐちゃぐちゃだし、他人を不快にさせるような絵ばかりだった。
でも、しばらく経ったある日、担任の先生に呼び止められた。
僕が描いた絵を見て、ものすごく褒めてくれた。
『トモル君は、絵の才能があるのかもしれない。』
それがうれしかった。

そして3年生になり、担任の先生との進路相談のとき、僕の溜まりに溜まっていた何かが爆発した。
『死にたいです。』
僕は声を震わせながら先生に言った。
すると先生は強い口調で言った。
『もし、トモル君が死んだら、私は先生を辞めます。』
当時の僕は、これが「脅し」にしか思えなかった。

その後、情緒不安定気味ではあったものの、なんとか美術系の高校に入学することができた。
自分の絵が認められたような気がして、とても嬉しかった。

ここからが僕の転落の始まりだった。

§6

ボク『ご主人様、今日から高校生ですね!』
ご主人様『うん…。』
今日のご主人様は、いつも以上に不安になられてた。
ボク『…高校はきっと楽しいところだと思いますよ!ご主人様!』
ご主人様『…そうだね…。』
ボク『ご主人様…ボク、ご主人様のお側にずっといますから…その…。…心配しないでください。』
ご主人様『うん…ありがとう…。』
ボクとご主人様は、ご主人様が通う高校へ向かった。

ご主人様がご入学された高校では、普通のお勉強をする普通コースと、普通のお勉強だけでなくお絵描きのお勉強もする美術コースがあった。
ご主人様は美術コースにご入学された。
ご主人様が中学生の頃と比べると、ご主人様のお悩みが減ると思っていた。
美術コースのクラスでのご主人様のご様子は、ものすごく楽しそうだった。
ボクはものすごく安心した。
これならご主人様はお幸せになれる…と。
…でも、普通コースの生徒と一緒に行う授業…特に体育では、ご主人様はものすごく嫌な思いをされていた。
普通コースの一部の不良の生徒と一緒に授業を行うご主人様のご様子を見ているだけで、ボクはつらくて、ものすごく申し訳ない気持ちになった。
どうしてボクはご主人様に何もできないのだろう…。
どうしたらご主人様はお幸せになれるのだろう…。
そう思うことが数え切れないほどあった。

高校1年生のある日、ご主人様は突然学校に行かなくなってしまった。
ご主人様はその後、大声をあげてパニックになられたり、夜にはボクが寝ているときに、お一人で泣いてらっしゃるときが多くなった。
ボクは、とても悔しかった。
ボクは何にもできなかったからだ。
ご主人様は、次の年も1年生のままだった。

その後、ご主人様は高校を中退することになった。

§7

僕は自宅にひきこもるようになった。
相変わらず、ボクには何にもできなかった。
僕は、自殺することを考えてしまうほどズタズタな状態だった。
ボクはこの先どうすればいいのかわからなくなってしまった。
僕は、家族の目の前で訳のわからない支離滅裂な言葉を話していることが多くなった。
ボクの中には罪悪感が日に日に増していった。
その罪悪感が、僕をさらに苦しめ、
ボクをダメにすることはわかっていた。
僕は…。
ボクは…。

ぼくは、居ても居なくてもいいどうでもいい存在だ。

それをぼくは僕に教えてくれた。

それをぼくはボクにも教えてくれた。

だったら、ぼくに感謝しないとね。

ありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございましたありがとうございました


§8

ぼくは もう だめ です
いきて いたかった
みんな を もっと
しあわせ に できる ひと に
なりたかった
でも ぼく は
みんな を うらぎって ばかり
なんにも やくに たたない
なんにも やくに たてない
ひがい もうそう ばかり
もう さ
しんで よ
しんで よ
しね よ
しね よ
死ねよ

何がミーコだ ミーコなんて居ないんだよ お前の妄想癖は異常だな 妄想人間と何ずっといつも話してるんだよ お前は狂ってるな あんな幼女とこれまでどんな夢物語を妄想していたのかな 聞きたくも無いな どうせいつもその楽しい楽しい夢の中でそいつの身体を色々楽しんでいたんだろ 気持ち悪 本当お前って現実も妄想もゴミクズだな 親も思っているだろうな 早く死なないかなって だってそうだろ お前なんか居なくても良い存在なんだから 何が居ても居なくても良いどうでもいい存在だよ お前は一生懸命に生きることさえもできないのかよ お前はそうやって楽しい生活を送っているけどさ お前の大切な友達とか大切な人はさ 何かしら悲しんでいるんだよ トモルはもっと頑張れるよ トモルは独りぼっちなんかじゃない トモルは大切な大切な家族なんだから トモルはきっとできるよ トモルならきっとボクのことをいつか消すことができるようになる ボクがいなくなった時には ご主人様は独りぼっちなんかじゃなくなる だって だって だって


§9

気がついたころには

ミーコの姿は見えなくなっていた

僕はそれ以降

ミーコとは会っていない



朝だ

よく眠った眠った

するとそばに父と母がいた

僕は母と普通に会話しようとすると

父と母は泣いていた

すると僕もなぜか

泣いていた

そして僕はなぜか謝り続けた

ごめんなさい

ごめんなさい


外を見ると

今日は快晴

良い天気だ



そうだ

今日はミーコと一緒に外出しよう



ミーコはもう

僕の元にはいないんだったっけ



家の外から

ミーコの声が聞こえた

僕は気持ちを抑えられず

その声がするほうへ

急いで向かった



『ご主人様…』

『ご主人様…』

『ご主人様…どうして…』

…「どうして」…?
ミーコ、どうして泣いているんだい?
何か嫌なことがあったのかい?
僕がミーコのことを独りぼっちにしていたからかい?
大丈夫だよ、ミーコ。
僕はミーコとずっと一緒だよ。
だから安心して。
ミーコのこと、大好きだよ。
だから泣かないで。
ミーコ。

『ご主人様…なぜ…なぜ…。』

ミーコ?
僕の声が聞こえないのかい?

…ふと、家の方が騒がしいことに気づいた。
家へ向かうと、親せきのおじさんやおばさんなどが黒い服を着て何かに悲しんでいた。
僕は急いでミーコの元へ向かったためちっとも気づかなかった。
家の外見も変わっていた。
まるでお通夜でもしているかのようだった。
僕はなぜ親せきが集まっているのかを知りたくて、両親の元へと戻った。






すると、

僕が居た。

僕がそこで寝ていた。

僕が布団をかぶって寝ていた。

僕を囲うようにして親せきや父と母が悲しんでいた。






僕は

僕は

僕は

僕は


僕は


僕は





〜 僕と彼女の土台のある生活 おわり 〜


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